酔雲庵


尚巴志伝

井野酔雲







鉄炮




 側室のハルはほとんど佐敷ヌルの屋敷に入り浸りで、二人の侍女も佐敷ヌルを尊敬したようで、真剣に武当拳(ウーダンけん)を習っていた。

 石屋のクムンは職人たちと一緒に、島添大里(しましいうふざとぅ)グスクの石垣を見て回って修繕していた。職人の中に腕のいい老人がいて、若い者たちに教えていた。

「タラ(じい)はわしの祖父の弟子で、親父や叔父よりも腕のいい石屋です。タラ爺だけは、わしを裏切らずにずっと、わしを助けてくれました」とクムンは言った。

 タラ爺は、「石の声を聞け」とよく言っていた。石もしゃべるのかとサハチは感心し、タラ爺の見事な仕事振りを見ながら、首里(すい)グスクの北曲輪(にしくるわ)の石垣をクムンたちに頼もうかと考えていた。今の北曲輪は石垣ではなく、そこだけが場違いのように土塁に囲まれていた。

 ウニタキは本当に久高島に行って来ていた。進貢船(しんくんしん)の帰国祝いの宴の次の日、ウニタキは旅芸人たちを送り出した。まずは東方(あがりかた)を巡って、観客たちの反応を見て、直すべき所を直してから敵地に送り込むという。旅芸人たちを見送ったあと、妻のチルーと娘のミヨン、ファイチの妻のヂャンウェイと娘のファイリンを連れて久高島に行き、フカマヌルと娘のウニチルと一緒に、海に潜って遊んできたと楽しそうに言った。

「ファイチは連れて行かなかったのか」とサハチはウニタキに聞いた。

「ファイチも誘ったんだが、忙しいから妻と娘を頼むって言われたよ」

「ワンマオ(王茂)が国相(こくしょう)になったから、久米村(くみむら)に新しい組織を作るって言っていたな。進貢船が増えたからファイチも大変なのだろう。そう言えば、リリーが産んだ娘は元気なのか」

「ああ、元気だよ。リリーは早く仕事に復帰したいようだが、今は子育てに専念している」

「そうか。きっと、母親に似て、足の速い娘になるだろう」

「そうだな。お前の息子はまだ首里にいるのか」

「乳離れしたらこっちに連れて来るそうだ」

「可愛い側室が来たそうだな」とウニタキは笑った。

「会ったのか」

「いや、シチルーから聞いたんだよ。配下の者に見張らせているが、今の所、怪しい素振りはないようだ」

「石屋の方はどうだ?」とサハチは聞いた。

「石屋も今の所は島尻大里(しまじりうふざとぅ)に行った者はいない」

「そうか。侍女から石屋を通して、シタルー(山南王)に知らせるという流れだな」

「側室なんだが、シタルーはタブチにも贈っているぞ。ハルと同じように粟島(あわじま)(粟国島)から来た娘だ」

「なに、シタルーは兄貴に側室を贈っているのか」

「中山王と山南王が同盟を結んだのを機に、八重瀬(えーじ)グスク内を探るつもりなんだろう」

「タブチは受け取ったのか」

「ああ、喜んで受け取ったようだ。そして、タブチもシタルーに側室を贈っている」

「兄弟で何をやっているんだ」

「タブチも山南王(さんなんおう)の座を諦めていないのだろう。島尻大里グスクに味方を送り込めば、シタルーの隙を見て、グスクを奪い取る事もできるからな」

「シタルーが贈った側室は刺客(しかく)かもしれんぞ。タブチを殺して、東方を狙っているに違いない」

「同盟を結んだお陰で、あちこちで動きが始まった。仲直りしようと笑いながら、裏では相手を倒す計画を練っている。面白くなって来たな」

「シタルーで思い出したんだが、お前に聞きたい事があったんだ。座波(ざーわ)ヌルというのを知っているか」

「シタルーの側室だろう」とウニタキは知っていた。

「ハルは幼い頃、両親を亡くして、座波ヌルの世話になっていたらしい」

「ほう、そうだったのか。すると、シタルーはハルの才能を見抜いて粟島に送ったのかな」

「ハルが粟島に行ったのは四年前だ。その前に、シタルーは座波ヌルを側室にしたという事になる」

「いや、もっと前だぞ。あれは確か、ンマムイの阿波根(あーぐん)グスクを築いている頃だ。武寧(ぶねい)に頼まれて、シタルーも阿波根グスクの普請(ふしん)に関わっていたようだ。阿波根に行く途中、座波で会ったのだろう。当時はまだ若ヌルだった。シタルーは若ヌルを側室にしたが、グスクには入れず、そのまま座波に置いていた。座波ヌルに反対されたのかどうかは知らんが、シタルーが通っていた。子供も二人いるはずだよ。阿波根グスクにも出入りしていて、ンマムイの奥さんとも仲がよかったようだ」

「シタルーは今も座波ヌルのもとに通っているのか」

「去年、座波ヌルが亡くなって、若ヌルは座波ヌルを継いだんだ。先代が亡くなった後は頻繁に出入りしているようだ。グスクにも側室は何人もいるんだが、中山王と同じように、王様になるとグスクから出たくなるらしいな」

 ウニタキは笑って、「今帰仁(なきじん)に送る『まるずや』の人選をしなくてはならん」と言って帰って行った。

「タブチを守ってくれよ」とサハチはウニタキの背中に声を掛けた。

 ウニタキは、「わかっている」と言うように手を振った。

 ウニタキが帰ったあと、サハチはナツを連れてグスクを出た。子供たちは佐敷ヌルの屋敷で遊んでいるという。

「散歩にでも行くか」とサハチが言うと、

「どういう風の吹き回しですか」とナツは怪訝(けげん)な顔をして聞いた。

「お前に子供たちの面倒を任せっきりだからな、たまには息抜きした方がいいと思ったんだよ」

「まあ」と笑って、ナツは嬉しそうにサハチに付いて来た。

「二人だけで散歩するなんて久し振りですね」

「ただの散歩じゃないんだよ」とサハチは言った。

「えっ」とナツはサハチの顔を見た。

「チューマチの事なんだ。来年、山北王(さんほくおう)の娘がお嫁に来るだろう。親父もマチルギも東曲輪(あがりくるわ)に屋敷を建てればいいと言ったんだが、よく考えたら、それではまずい事に気づいたんだ。山南王は、嫁いで来た山北王の娘のために保栄茂(ぶいむ)グスクを築き、山北王は五十人の兵を送ってよこした。もし同じ事が起これば、山北王の兵を島添大里グスクに入れなくてはならなくなる。それはうまくない。チューマチのために、新しいグスクを築かなければならないんだよ」

「でも、ジルムイやイハチがグスクを持っていないのに、チューマチだけグスクを持つなんて、おかしくないですか」

「ジルムイは首里のサムレーになっていて、イハチは島添大里のサムレーになっている。チューマチも島添大里のサムレーにするつもりだったんだが、お嫁さんが山北王の娘となるとそうもいくまい」

「クルーの奥さんは山南王の娘だけど、佐敷グスクの東曲輪にいますよ」

「そうか。チューマチにグスクを築くのなら、クルーにも築かなければならんな」

「そうですよ。チューマチより先に、クルーのグスクを築くべきです」

 サハチとナツは話をしながら、島添大里グスクの東側にある見張り小屋の所に来た。馬天浜(ばてぃんはま)を見下ろせる眺めのいい所で、シンゴの船が来る頃にはここに見張りを置いていた。

「ここに建てたらどうかと思ったんだ」とサハチはナツに言った。

「ここにチューマチのグスクを?」

「そうだ。島添大里グスクの出城だな」

 サハチは周辺を歩いてみた。所々に岩が出ているが、整地をすればグスクが築けそうだと思った。

津堅島(ちきんじま)が見えるわ」とナツが言った。

 サハチも海の方を見た。

「今度、子供たちを連れて津堅島に行くか」

「ほんと?」

「ああ。次の進貢船の準備が終わったらな」

「お婆が歓迎してくれるわ」

 サハチは笑って、「もう一カ所あるんだ」と言った。

 サハチはナツを連れて、来た道を戻った。

 グスクまで戻って、城下の村を通り越して行くと小高い山がある。ギリムイグスクと呼ばれ、島添大里按司が玉グスク按司と争っていた百二十年ほど前、大グスクに対する守りとして築かれたグスクだった。玉グスクの若按司が浦添按司(うらしいあじ)になったあと、島添大里按司と玉グスク按司は同盟を結び、ギリムイグスクの役割は終わって廃城となった。山の中に古いウタキがいくつもあって、サスカサがお祈りをしているので道はあった。

 細い道を登って行くと古い石垣が残っていて、それなりの広さもあったが、眺めはあまりよくなかった。

「サスカサが神様から聞いた話によると、このグスクは島添大里グスクよりも古いらしい。島添大里グスクには月の神様を祀ったウタキがあるので、男は入る事ができず、最初はここにグスクを築いたのかもしれないとサスカサは言っていた」とサハチはナツに説明した。

「ここよりは見張り小屋の所の方がいいわよ」とナツが言った。

「そうだな」とサハチはうなづき、「この石垣の石は使えそうだな」と言った。

 翌日、サハチは首里に行き、思紹(ししょう)とマチルギに相談して、見張り小屋の所にチューマチのグスクを築く事に決めた。その足で佐敷まで行き、クルーと会って、グスクを築かないかと聞いた。クルーは驚き、使者になりたいので、グスクはいらないと言った。

「佐敷グスクの東曲輪には、やがて、マサンルーの子供たちが入る事になる。いつまでも、あそこにいるわけにはいかないんだ。お前もどこかに拠点を持って独立した方がいい」

 サハチがそう言うと、クルーは少し考えてから、手登根(てぃりくん)がいいと言った。

「手登根?」

「ササがセーファウタキ(斎場御嶽)に行く時、手登根から山を越えて知念(ちにん)に抜けたんです。あそこに道があればいいと言っていました。俺が山の(ふもと)にグスクを築いて、知念に抜ける道を作ります」

「お前が道を作るのか」とサハチは意外な答えに驚いてクルーを見ていた。

「セーファウタキは御先祖様がいらっしゃる重要なウタキだとササは言っていました。セーファウタキまでの道をちゃんと作って、セーファウタキを守らなければなりません」

「そうだな。御先祖様の豊玉姫(とよたまひめ)様を守らなくてはならんな。よし、手登根にグスクを築いて、お前は手登根大親(てぃりくんうふや)を名乗れ」

 サハチはクルーと一緒に手登根まで行って、グスクを築く場所を決め、「縄張りを考えて、親父の所に持って行け」と言った。

 七月になり、九月に送る進貢船の準備でサハチも忙しくなって、首里にいる事が多くなった。

 久し振りに島添大里に帰ると、佐敷ヌルとユリはシビーを連れて、与那原(ゆなばる)のお祭りの準備に行っていた。何と、ハルと二人の侍女も付いて行ったという。

 ハルと侍女が刺客(しかく)かもしれないから気を付けろと佐敷ヌルには言ってあるが、マタルー(与那原大親)が心配だった。マタルーの妻のマカミーはタブチの娘なので、シタルーがマカミーの命を狙っているかもしれなかった。

「おしゃべりばかりしていて、時々、うるさいって思ったけど、いなくなると寂しいわね」とナツは言った。

「ハルは刺客だと思うか」とサハチはナツに聞いた。

「違うと思います。あの()、隠し事なんかできませんよ」

「侍女の二人はどうだ?」

「あの二人も違います。ハルと違って、あの二人が按司様(あじぬめー)を殺すには、このお屋敷に忍び込まなければならないけど、あの二人はそんな技術は持っていません。ハルが言っていましたけど、粟島には特別なお稽古をする場所があって、そこは選ばれた人だけが行けるようです。ハルも来年は、そこでお稽古をする予定だったみたい。急にお嫁に行けって言われて、がっかりしていたんだけど、ここに来てよかったって言っていました」

「その特別なお稽古というのが、刺客を育てている所だな」

「多分、そうでしょう。侍女の二人は選ばれなかったらしいですよ」

「成程な、自分でも言っていたが、侍女たちよりも強いというのは本当らしいな」

「シビーと剣術の試合をしたんだけど、簡単に勝っていました。シビーは悔しがって、夜遅くまでお稽古に励んでいますよ」

「そうか。いい競争相手ができたな。シビーも強くなるだろう」

 七月の半ば、今年も三姉妹がやって来た。今年は三隻の船で来て、一隻は鄭和(ジェンフォ)と一緒にタージー(アラビア)まで行って来た船だった。荷物を積んだまま船ごと奪い取って、そのまま琉球まで持って来たという。

 サハチたちは驚いて、一体、どうやってそんな事ができたのかを聞いた。

 三年前、ウニタキが明国に送ったマニとイサの二人が、三姉妹のために裏の組織を作って、各地の情報を集めていた。一か月前、鄭和と一緒にタージーまで行った船が次々に帰って来て、杭州(こうしゅう)の街はお祭り騒ぎになっていた。

 タージーから帰って来た船の一隻が、報酬の事で船主と船乗りが争い、船乗りが怒って船を降りてしまい、街から離れた川縁(かわべり)に置きっ放しにされていた。その事を知ったマニとイサは三姉妹に知らせ、ジォンダオウェンが海賊たちを率いて襲撃したのだった。

 船を守っている兵は二十人ほどいたが、無事の帰国を喜び、酒を飲んで酔い潰れていた。思っていたよりも簡単に奪い取る事ができたという。

「凄いお宝がたっぷりと積み込まれているわ」とメイファンは笑った。

 メイファンは今年もチョンチを連れてやって来た。メイリンはスーヨンを連れ、メイユーとリェンリーは今年も旧港(ジゥガン)(パレンバン)まで行っていた。ユンロンも今年は来ていて、リュウジャジンの長男のミンウェイが、奪った船の船長になっていた。

 そして、奪った船に乗っていたという鉄炮(てっぽう)(大砲)を二つ持って来てくれた。鉄炮はヒューガの船に積み込み、沖に出て試し打ちをした。

 物凄い爆発音がして鉄の玉が遠くに飛んで行き、海の中に落ちて行った。

 その船にはサハチ、思紹、苗代大親(なーしるうふや)、ウニタキ、ジォンダオウェンが乗っていて、初めて鉄炮を見たヒューガと苗代大親は目を丸くして驚いていた。思紹はヂャンサンフォンと一緒に海賊の島に行った時に見ていた。

「凄いのう。こいつがあれば敵の船を沈めるのはわけないのう」とヒューガは言った。

「敵を脅かす効果はありますが、敵の船に当てるのは難しい」とジォンダオウェンは言った。

「飛ぶ距離は鉄炮の角度で決まります。思い通りの所に玉を飛ばすには、稽古を重ねるしかありませんが、火薬が貴重なので、稽古も思い通りにはできません」

 ジォンダオウェンが持って来た火薬は二十回分くらいだという。

「敵の船に当たらなくても、充分に脅しとして使えるじゃろう」とヒューガは言った。

「こいつはグスク攻めにも使えるな」と苗代大親が言った。

「船よりグスクの方が大きいから、どこかに当たるじゃろうな」と思紹は言った。

 思紹はジォンダオウェンに火薬を手に入れるように頼んだ。

 タージーまで行って来た船には、見た事もないお宝がいっぱい積んであった。象の牙だという象牙(ぞうげ)、動物の毛でできている分厚い敷物、様々な色に輝く宝石、鮮やかな色の布、様々な香辛料と布を染める染料は大量に積んであり、変わった形をした剣や色々な国の酒もあった。ヤマトゥの将軍様に贈ったら喜びそうな品々が色々とあり、サハチはジォンダオウェンに感謝した。

 メイユーは島添大里グスクには来なかった。メイユーとハルを会わせたら危険だとマチルギが言い、メイユーは首里にあるサハチの屋敷に入った。

 三姉妹は旧港から来た商人という事になっているが、明国の海賊だという事がシタルーにばれてしまうと、シタルーから明国の役人に伝わり、三姉妹の本拠地が永楽帝に狙われる恐れがある。それに、中山王が密貿易をしている事がばれれば、進貢もできなくなるかもしれなかった。

 サハチが首里の屋敷に顔を出すと、メイユーだけでなく、リェンリーとユンロンもいた。

「佐敷ヌルと一緒にお祭りの準備ができないのは残念だったな」とサハチが言うと、

「楽しみにしていたのよ」とメイユーは言った。

「マシュー(佐敷ヌル)に会いにも行けないなんて寂しいわ。ナツにも子供たちにも会えないの?」

「子供たちの口はふさげないからな。メイユーが子供たちに会うと子供たちも喜ぶんだが、ハルにメイユーの事を色々と話してしまうかもしれないんだ。俺も今は忙しくて、なかなか島添大里には帰れない。メイユーがここにいてくれた方がいい」

奥方様(うなじゃら)はここには来ないの?」

「マチルギはタチの面倒を見なければならないので、今はグスク内の御内原(うーちばる)で寝泊まりしているよ」

「そう。今年はここで、笛のお稽古をしながら、のんびりする事にするわ」とメイユーは笑って、腰に差していた横笛をサハチに見せた。

「船の上でお稽古したのよ」

「メイユーも笛を始めたか」とサハチは笑った。

「あたしたちも始めたのよ」と言って、リェンリーとユンロンも笛を見せた。

「笛があると長い船旅も楽しくなるだろう」とサハチが言うと、三人は笑ってうなづいた。

「メイユー」と呼ぶ佐敷ヌルの声がして、縁側の方を見ると、佐敷ヌルとシビーが顔を出した。

「マシューにシビー」と言って、メイユーは縁側まで行って再会を喜んだ。

 シビーがヂャンサンフォンのもとで修行を積んだ事を聞くと、「もう、あなたはあたしの弟子ではないわ。ヂャン師匠の弟子よ」とメイユーはシビーに言った。

「あたし、やりたい事がみつかったんです」とシビーは言った。

女子(いなぐ)サムレーになりたいって夢見ていたんですけど、佐敷ヌルさんを助けてお祭りの準備をしていて、このお仕事があたしのやるべきお仕事じゃないかしらって思うようになりました」

「シビーがあたしの跡を継いでくれるって言ったのよ」と佐敷ヌルが嬉しそうに言った。

「あたしはあと何年かしたらヤンバルに行かなければならないの。シビーがあとを継いでくれれば安心してヤンバルに行けるわ」

「どうしてヤンバルに行くの?」とメイユーが聞いた。

 佐敷ヌルはガーラダマ(勾玉)を見せて、その由来を話した。

 佐敷ヌルの話が一段落すると、サハチは佐敷ヌルにハルの事を聞いた。

「ハルはヂャン師匠の武当拳に夢中になっているわ。あの娘、体は柔らかいし、物覚えはいいし、素質は充分にあるわ。何より、心が綺麗だから、眠っている才能を呼び覚ます事もできるかもしれないってヂャン師匠が言っていたわ」

「心が綺麗か‥‥‥侍女たちも夢中になっているのか」

「侍女たちは武当拳よりもお祭りの準備が好きみたい。二人とも縫い物が得意なのよ。お芝居の衣装を作ってもらっているの。色々と手伝ってくれるので助かっているわ」

「そうか。三人の事、よろしく頼むぞ」

「ええ、大丈夫よ」

 その夜、ヤマトゥ酒を飲みながら、女たちは遅くまで語り合っていた。前日の寝不足がたたって眠くなり、サハチは先に休んだ。





島添大里グスク




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